【編み物本を編む】~ルーエル通り39番地

アパレル育ちのニット女子が「編む・装う・生きる」を楽しむブログ

お隣りさんの猫。名前を『ウツ』と言う。

「猫の恩返し」のような...『ウツ』との思い出。。。

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私の飼い猫のスコは玉のような声で鳴く。

可愛くて美しい鳴き声は、10歳を過ぎた今も健在だ。

顔を近づけると「ふるぅルん♪」と鳴く。 ん? 今聞こえたのは、鈴の音? 

たまらなく可愛くなって抱きしめる。

抱きかかえると、曲線だけで構成されたその柔らかな、水の塊のような身体が、私の腕のなかでとろけそうになる。

...

そんなにも可愛い声の猫がこの世に存在するというのに、お隣に暮らす猫は、残念なことに、ダミ声で「びえー」と鳴く。

しかも、声が大きい。「びえー、びえー、びえー

ある日、お隣のお兄さんと玄関先で会った時に、猫も顔合わせをすることになった。

「お名前は、なにちゃんですかぁ?」

「ウツ、です」

鬱? え? 今、なんて? 口をあけて3秒止まって、湧いた疑問は湧かなかったことにして、私はそのまま呼んでみる。

「ゥツちゃん、はじめまして~♡」

ちなみに、皆様のご想像通り、出だしのゥ、は声が小さくなってしまった。

びえー

名前とは真逆で、繊細な感情とは縁遠そうな体格の良いイケメンウツは、ご機嫌麗しく、挨拶を返してすりすりしてくれる。

お隣りのお兄さんは、同棲をしていて、お兄さん、お姉さん、ウツの3人暮らしだった。

ある日、お兄さんがお仕事でお留守の時。

お姉さんプラス知らない男性がやってきて、ほんの数時間で、お姉さんの荷物を運び出し、お姉さんは荷物と一緒にいなくなってしまった。

傷心したであろうお兄さんは、空っぽの部屋にいるのが辛すぎたのか、3日ほど部屋に帰ってこなかった。

夜中に聞こえてくる「びえー、びえーびえーーーっ

ウツが、玄関ドアのギリギリのところまで来て泣いている。

いつもよりさらに大きい、張り裂けそうな必死のびえーーー

その鳴き声がかわいそうで胸がしめつけられる。

そうだよね、死ぬほど寂しいよね...、お腹すいたよね...。

私は隣りの玄関ドアの前にしゃがみこんで、声をかける。

「ウツ、ウツ、大丈夫だよ。ウツ、お兄さんすぐに帰ってくるよ」

少しだけやわらぐしゃがれた声...。

びえ

出来るものなら、家宅侵入罪に問われようとも、玄関のカギを壊して、中に入って、ウツを抱きしめてあげたい。

お腹いっぱい食べさせてあげたい。トイレの砂を換えてあげたい。

カギを壊せない常識的で無力な私は、ドアの前にしゃがんだまま、ドア越しにウツと向かいあって、途方に暮れて、ウツの気持ちを思って一緒に泣くことしか出来なかった。

それから、数年が経って。3年前、私が大きな手術をして、退院数日後のお昼のこと。

「痛いよ~。死ぬのかなぁ。怖いよ~。再発、手術の繰り返しだって~。」と、泣きべそをかきながら、自宅療養でベッドにいた時のこと。

すごく近くで、「びえ~♡」という優しい鳴き声がした。

ん? 気のせい? ベランダを見ると、すぐそこに、ウツが来てちょこんと座っている。

ベランダの仕切りをどうやってくぐったのだろうか。

「うわぁ、ウツ~。お見舞いに来てくれたの~?」

「びえ~♡♡」

どうして、私がこんな病気になったとわかったのだろう?

...

それは、ウツが私の家を訪ねてくれた、最初で最後、一度きりの、私には『にほんむかし話』のような出来事でした。ウツのことは助けてあげられなかったのに、ウツは、助けに来てくれたような気がしました。

お兄さんとウツは、昨年引っ越しをなさったので、もうあのダミ声を聞くことは出来ません。



生き生きとした生命が漲っている、元気いっぱいのウツのダミ声。

好きだった声。

お猫様、スーパーヒーロー、ウツ!
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ウツ、新しいおうちでも、大きな声でお兄さんやお隣さんを励まし続けてる?
ウツ、あの時はありがと~♡ 私もがんばるね!


五浪丸さま、コメントをありがとうございました。びえーん;;


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