ザーザー降りの雨の日のことです。
どうしてその日に、そうしようと思ったのか覚えていないけれど、パリで暮らし始めてから初めて、洗濯機を回していました。
ワンルームの部屋に備え付けられた丸いドアがついた横型のドラム洗濯機。
フランス語のだいたいはわかるのだけど、洗濯機のコース設定とかそのあたりがわかりません。
回し始めたものの、1時間近くたっても止まる気配がありません。
しかも、音が大きく響いています。
雨降りの部屋で、ドドドドドと回り続ける洗濯機。住人の方も、雨降りで部屋にいて、この大きな音が響いているはず...。
「うるさい!」って、下の階の方が言ってくるよね? と考え出してしまって、心細くなって、涙が出てきました。
「早く止まって、お願い!」と必死で思うのに、止まらない。強制的に止める方法もわからない。フタも開かない。
洗濯機の前にしゃがみこんで、ただただ悲しくて、どうしようどうしようと思っていました。
何が悲しかったのだろ? あの時は、なんであんなに、どうしようどうしようって思ったのだろう?
そもそも、雨降りの日に、洗濯機を回そうと思ったココロが、少し壊れている。
遠く離れた異国の地でのひとり暮らしは、常に自分の中に居座っている不安と緊張と孤独感を、「憧れ」だけで必死に支えている時間でした。
記憶では、ナッシマとの出会い、ペトロヴァ選手との出会い、ローランギャロスでの友達との出会い、アントワープへの小旅行...
それから、ルーブル美術館のPOSTやアントワープのMoMuでの出会いとか、強く行動し、素敵な出来事がたくさんあって、「何があんなに、パリでの私をエコひいきしてくださったのだろう」とも思うのですが、
その気持ちと並行して、張り裂けそうなくらい寂しい気持ちといつも共存していたことを思い出します。
パリに着いた翌日に、近所の園芸店で、小さなマリーゴールドを買いました。呼吸をしている同居人です。
2か月足らずの日々を、マリーゴールドの明るい黄色が、大きく支えてくれました。
花の数が増えていった優しいマリーゴールドは、帰国前日、購入した園芸店に引き取ってもらい、別れを告げました。
楽しい記憶とも共にあるのだけれど「ひとりぼっち」でいつも寂しかった時間は、人生の彩りを濃くしてくれたように思います。
海外のいろんな国に行った中でも、パリでのひとり暮らしの体験には、特別な記憶の色がついていて、すべてを鮮明に思い出します。
お付き合いいただきましてありがとうございました。またね!
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